良い長火鉢の選び方その1.木材編

良い火鉢の見分け方

古い火鉢はすべて素晴らしい

こんにちは。

火鉢屋の番頭三浦です。

火鉢の道具店という屋号に2018年から変更しましたが、また火鉢屋に戻そうかと思い始めている今年の夏です。

さて今日から何回か、火鉢の選び方について書いてまいります。

 

古い火鉢には、良い火鉢も悪い火鉢もありません。

昔の職人さん、指物師の造った火鉢はどれも素晴らしいです。

 

職人技と一言で言われますが、ピークは江戸時代。

今からすると明治時代も相当なものですが、時代が新しくなるに連れて職人技はだんだん伝わらなくなっていきました。

 

故に、昔に作られた火鉢はどれも素晴らしいのです。

特に今の時代からすると。

 

そうした長い前置きをお伝えした上で、

その中でも特にこだわった火鉢を見分ける、見分け方を書いていきます。

 

 

火鉢の選び方 長火鉢編 その1

長火鉢を見分ける9つのポイント

長火鉢の良し悪しを見るにはいくつかのポイントがあります。

 

  1. 木材
  2. 木材の厚み
  3. 大きさ
  4. 木目
  5. 取っ手
  6. 引き出し
  7. 猫板
  8. 炉縁
  9. オトシ

 

この9つの部分をみることで、その火鉢の状態と、程度と申しますかクラスがわかります。

では今回は木材から見ていきます。

 

長火鉢を見分けるポイント 1 木材

良い木材と悪い木材があるわけではありません。

長火鉢の場合は

欅(ケヤキ)が8割

黒柿(くろかき)が2割

でしょうか。

 

他にも長火鉢っぽいもので

桐や紫檀などもありますが、

桐の長火鉢のようなものは、煎茶で使われる火鉢です。

紫檀(したん)や黒檀(こくたん)の、大きめの火鉢もありますが

長火鉢よりはずっと小さいはずです。

 

というわけで、

長火鉢の木材はケヤキと黒柿の2種類だけ

ということになります。

 

また長火鉢ですから殆どが一枚板です。

過去に1度家2度、外側に薄くしたケヤキを貼り付けたものを見たことがありますが、相当レアなものです。

 

長火鉢を造っていた当時の江戸時代〜明治までは、まだまだ樹齢400年以上の木材が手に入りました。また指物師の数も圧倒的に多かったです。

 

ケヤキと黒柿の違い

どちらも耐熱温度が400度以上と、火鉢で使うには最適な木材です。

また、木としての硬さもトップで、加工が難しいです。

 

ケヤキと黒柿では、木目、模様が違います。

こちらがケヤキの長火鉢

 

過去ベスト3に入る最高の長火鉢を参考画像にしてしまいましたが、これが最高峰の江戸長火鉢です。

木目が恐ろしいほど見事です。

後々ご説明致します。

ケヤキの長火鉢

 

こちらが黒柿の長火鉢

象牙の釘が超印象的!

孔雀杢(くじゃくもく)はありませんが、見事な墨(すみ)の入り具合です!

ちなみにこちらはお値段34万円でした。

黒柿の長火鉢 関東火鉢

 

黒柿のほうが割合が少ないので、希少価値があります。

お値段的には、同じサイズの長火鉢であれば、黒柿はケヤキの2割増しくらいなかんじでしょうか。

 

ただケヤキも木目がすごいものは、黒下記の火鉢よりも圧倒的に高価になります。

なので、木材だけで価格が決まるわけではありません。

黒柿はケヤキほど木目の種類は多くなく、孔雀杢が有名ですが、他はとくに木目として決まっていません。

そのため孔雀杢た出たものは値が張ります。

 

黒柿の孔雀杢の長火鉢は、過去に5台ほどしか見ていません。

 

以上が、長火鉢の木材についてでした。

ケヤキか黒柿かは完全に好みです。

個人的にも両方好きで、どちらか一方ということはありません。

ただケヤキの場合、木目は随分気にすると思いますが。

 

では次回は木材の厚みについてです。