火鉢や囲炉裏でつかう灰について解説します。

安全で安心な灰を2つに絞って販売しています。

くぬぎ灰に、50メッシュと30メッシュをご用意いたしました。50メッシュは製造に非常に時間がかかるため在庫無いことが多いです。

30メッシュでも充分細かいことなどから30メッシュをご用意しました。

特に細かいものが必要な方のみ50メッシュをご注文ください。

くぬぎ灰

なら灰

特徴
灰の王様
一番きめ細かいダントツ1位
色味は濃い目
四国のくぬぎ原木100%
茶道・香道・火鉢
1,600円kg
ふるいの目 50メッシュ
特徴
安くて良質
2番めに細かい
色味は白っぽいグレー
岩手南部のなら原木100%
火鉢・囲炉裏用
980円/kg

くぬぎ灰と、なら灰 の販売

四国で焼かれた、最も細かい灰がくぬぎ灰 火鉢に

火鉢に、くぬぎ灰

囲炉裏に、なら灰

灰2種類

長々した説明

くぬぎ灰・なら灰

火鉢の灰は2種類

火鉢屋の灰は全部で2種類ございます。

1.くぬぎ灰

2.なら灰

火鉢の灰の条件とは

燃えた炭を灰に埋めても、灰の中で炭が静かに燃えること。

これが良質な火鉢の灰の条件です。
理由は「ガスコンロのない時代に炭を埋めて寝ると朝起きたときに火種が残っていてスグに温まれること。炭火起こしの手間が省けること。

これが理由です。

灰の中で炭が燃えていても、上にティッシュ1枚のせても燃えないほど灰は断熱効果あります。ご安心ください。

くぬぎ灰・なら灰

どちらも火鉢に必要な条件を備えた灰です。

他にも灰はたくさんあります。テストもしましたが、最終的にこの2種類だけになりました。つまり、どちらをお選びいただいても最高にご満足いただけます。

いくつか特徴を書き並べてみます。

1.くぬぎ灰 (四国)

くぬぎ灰は50メッシュのフルイでふるっています。一般的には最もキメの細かい灰です。砂も混じっていないので燃える炭を“灰”に埋めてもちゃん静かに炭は燃え続けます。

これこそが灰の役目です。

以前にお買い上げいただいた方はご存知だと思いますが、過去には100メッシュという、通常は不可能なほどキメの細かい“くぬぎ灰”もございましたが、現在はございません。

しかしながら、一般的には30メッシュのフルイでふるってあるものが最高級と言われて
おりますので、50メッシュはさらに細かい灰ということになります。

2.なら灰 (岩手県)

なら灰は2kg袋と10kg袋がございます。こちらもメッシュは50ですので非常に細かいです。(現在は30メッシュ。また、1kgからご注文いただけます)

本来弊店には灰は5種類ほどありましたが、今ではこの2種類に絞られました。
どちらも非常によくできた灰で、『炭を灰の中に埋めても、炭はちゃんと灰の中で燃えていきます。』
これは火鉢や囲炉裏ではとても大事なことで、砂など混ざりがあると灰に炭を埋めると消えてしまいます。

くぬぎ灰 1,600円/kg・・・ 利休焼きのくぬぎ炭の灰

小麦粉のようにサラサラなのは、50メッシュという細かいふるいでふるっているから。
しかもそのあと 火を通して炭の粒を焼いています。
茶道、果ては山菜のあく抜きにまで使える 最上級の灰。 火鉢にはこちらをお薦めしています。

実は以前は100メッシュでふるっていましたが、100メッシュの機械が目詰まりがひどく くぬぎ灰の生成が追いつきません。以前100メッシュをご購入のお客様には多少大き目に感じるかもしれませんが一般的に細かいと言われている30メッシュよりは細かな灰ですのでご安心ください。

・ 楢灰 980円/kg ・・・ 通常はこれが最上級の灰と呼ばれています。 しかも30メッシュというこれでもかなり細かいふるいでふるっています。 もちろん完全に国産(主に岩手県) の楢の木を焼いて出来た楢の灰。通常は砂や土が混ざってしまう炭焼き窯を、純粋な灰だけを取り出せるように作り直した窯から採取しています。

くぬぎ灰との違いは微妙な色合いや、また、くぬぎ炭を燃やしてできる灰がくぬぎ灰であるがゆえのこと。なら灰でももちろん同じ広葉樹の灰ですので、備長炭の灰のように黒くなく、綺麗です。

くぬぎ灰は量が採取できずに貴重ですが、なら灰はくぬぎ灰よりは大量に採取できること、ふるいが30メッシュのため、くぬぎ灰よりもお安くなっています。 

ふるいが細かくなると、機器の故障とメンテナンス、ふるう時間に相当な差がでます。

火鉢や囲炉裏の灰はこんなに貴重!

囲炉裏などは本来、土を敷いてその上で木を燃やしていました。炭は煙をだしませんが、木は思いっきり煙を出します。 だから自在鉤や家の梁が煙で燻(いぶ)されて良い色になるのですね。 火鉢とて同じで、ゆえに下に土を敷いたり砂を敷いたりしていました。 ただ、銅板の炉の場合はさすがに砂を入れたりしていることはなかったようですが。

そんな貴重な灰。一窯5kgと言われる灰を作るのにワラを燃やしたりしていました。そうして少しずつ灰を溜めていったのです。

ちなみに一窯とは炭を焼くカマの事で、一般的な炭窯で焼かれる炭の量は200kg〜300kg。焼けるまでに数日〜2週間。それで取れる灰はわずか5kg〜20kg程度という少なさなのです。

楢灰などは楢炭の80%以上をやいている岩手の楢灰全てが手に入りますが、それでも2〜3トンしかありません。

灰の性質

灰には断熱材の役目があります。 深さ5cmもあれば灰の上でどんなに炭を燃やしても火鉢の下は熱くなりません。 稀に囲炉裏を作る際、灰の下に断熱材を敷く方がいらっしゃいますが、無くてもまったく問題有りません。 もちろん純粋な灰を使って入ればの話ですが。

火鉢も同様で、手あぶり火鉢などはもともと灰は深さ5〜7cm程度までしか入りません。その火鉢を畳のうえに直において何時間炭を燃やそうが、畳はほのかに暖かくなるだけです。

また炭の上に灰をかぶせて炭を見えなくしてしまえば、上に紙がのっても燃えることはありません。そのくらい強力な断熱効果を持つ灰ですが、灰の中には空気が通るので、しずかに最後まで炭は燃えて行きます。これが火鉢、囲炉裏での火種の作り方です。

江戸時代などは火を起こすのが大変でしたので寝る前に種火となる新しい炭を灰に入れ、上に燃えた炭をのせて灰をかぶせるのが習慣でした。 これを怠ると翌朝とんでもないことに。。。
これで朝、まっかに燃えた炭が灰の中から出てくるので、新しい炭をくべていくわけですね。

くぬぎ灰の特徴

火鉢用に焼かれたくぬぎ炭から取れた灰で、純度は100%。 その分値段も最も高い灰です。

これ以上ないほどサラサラとして綺麗な灰です。50メッシュという通常は使うことのない細かいふるいでふるっています。木材は四国で焼いた最高級のくぬぎの木が元になっています。
残ってしまう炭の粉は火を通して焼いています。つまり通常とれる灰は、細かい炭の粉などが
入ったままです。 それをすべて高熱で焼ききって処理しています。だから見たことのない程
綺麗な灰になっています。

くぬぎ灰の最大の特徴はこのきめの細かさと、色合いです。 たとえば備長炭の灰は黒っぽく、また楢の灰は白に近い色になります。 くぬぎ灰はさすがに千の利休さんが申しましたとおり、色合いからして他と違う上品さを持っています。

囲炉裏に使うのはもったいないと思っていましたが、高級なお宿の囲炉裏ですとか、大変立派な囲炉裏を作られた方はこちらは100〜250kg お入れになります。 もちろん年数件という稀なことではありますが、火鉢などには迷わずお使いいただきたい素晴らしい出来映えです。

なら灰の特徴

楢炭の産地 岩手県の炭窯から取れたこちらも純度100%のなら灰です。

楢灰(なら灰)は、岩手県のなら炭をやいている窯から取れた物です。くぬぎ灰ほどの細かさは無いですが、これでも50メッシュという細かなふるいをつかっていますので、手あぶり火鉢でもお使いいただけます。 他にも 1つの囲炉裏で250kgも使うような大きな囲炉裏のある老舗旅館さんから、個人の方でもご自宅の囲炉裏に200kg入れる方まで様々です。

楢の木もくぬぎと同じ広葉樹の木なので、灰の性質もとても似ています。色合いも白っぽいので通常使用する範囲においてはとても綺麗で安心できる灰です。

火事になったら真っ先に持ち出すは 灰なり

茶道家にとって灰は命。 水に通すあく取りという作業を行います。これにより灰に混ざっているミネラル分などを取り除きます。これを アク と呼んでいますが、セッケンを作るときはこのアクを使って他を捨てます。 焼き物では釉薬に純粋な灰の成分を使います。

お茶の場合はこのあく抜きをやって綺麗にした純粋な灰に、さらに煮出した緑茶やほうじ茶を振りかけて乾かし、茶道のオフシーズンの時期は壺にいれて寝かせる。と言う行為を繰り返します。これで20年以上たった灰は見事な色合いになります。

この灰こそが茶道家の命の次に大事な物と言われ、それ故、灰は「火事になったら真っ先に持ち出せ。」 と言われていたのでした。

なお、この灰を灰匙(はいさじ)というスプーンの様な物で山を作ったりして形を作りますが、江戸期の茶人の灰景色が今も保管されています。 もちろん 手あぶり火鉢のような風炉釜に入った状態です。

山菜のあく抜きにも使われる くぬぎ灰

灰は山菜のあく取り藍染めなどでも利用されます。 特にここ数年、山菜のあく抜きで使われることが大変多くなってきました。 もちろん高級料亭だけではありません。 普通に山に入って山菜を採っている方の消費の方が圧倒的に多いです。

これもこのくぬぎ灰の安全性と最も混ざりの無い灰故の使われ方です。
他には前出のセッケン作りでも使われていますが、こちらはさすがに少量です。またこの場合は灰というよりも灰に混ざっているミネラル分の方を使います。

陶芸・石鹸にも使われる灰

陶芸 石鹸 の製作で使用する場合

■こちらの灰は純度100%、つまり炭焼き小屋で採れた灰をふるいにかけ、混ざりもののまったく無い灰です。 しかし、陶芸用、石鹸用に使用する灰とは違います。

陶芸用の灰は水に通し、純粋な珪素である灰を抽出し使用します。 こちらの灰は後から砂をまぜるなどの混ぜ物は入っておりませんが、水に通しますと鉄分、砂などが取れます。 これは混ぜたものではなく、灰であれば必ず入っているものです。

木が生育する際、地中から栄養分を吸い取ります。土には鉄分、マグネシウムなどの養分、また砂などもありますが、木が養分を吸うのでそれらの物質も当然木の中に吸い込まれます。 その木を焼いて灰にしますと、灰のなかには自然にそれら物質も一緒になっています。

銅の多い土に育つ木からは銅が多く含まれるように、人すら灰になれば体に含まれるカルシウムから、あらゆるものが混ざっています。

陶芸などでは水に通し、アルカリ分であるアクを取り除き、さらに下に沈む砂、鉄分はマグネットを入れるなどして取り除かれると思います。 そうして取れた 純粋な灰を、陶芸では使用しています。 こういった水通しのような作業は、この灰にはしておりませんので、こちらの灰をそのまま陶芸用にお使いになることは出来ません。

■茶道におきましては、お茶の先生もこちらの灰をお買い求めいただいておりますが、その後、それぞれの先生好みの灰をつくるため、水に通し、さらにスリコギですって灰を細かくし、また水に通してなどの作業をされます。

灰に砂を混ぜるというのは、灰のカサを増すために川砂などを混ぜること言い、火鉢の銅の炉などにはよろしくありません。もちろん当店の灰は炭焼き小屋で出来た灰をそのままお送りしております。

ただし水通しした場合は、混ぜた川砂ではなく、元々灰に含まれる土からとれた成分が混ざっていることをあらかじめ念頭に入れてください。これは火鉢・囲炉裏にご利用いただく場合はまったく問題ありませんが、陶芸用の灰をお求めの場合に限り、大事な違いです。

以前あったトラブル 100メッシュのふるいが壊れた・・・

以前は灰を“ふるう”ふるいには、 100メッシュという最も細かいふるいを使用していました。その100メッシュのふるいが壊れてしまいました。工場では変わりに楢灰ようの50メッシュでふるった物を箱詰めしました。それを知らずに私が出荷してしまったのです。

受け取られたお客様は以前 くぬぎ灰をお買いになった方でしたので、すぐにその異変に気づかれ
ご連絡をくださいました。 100メッシュとは、1寸×1寸の中に、穴が100個ある状態を言います。実際に目で見ると、良くわかりません。穴が小さすぎて。 ゆえに100メッシュを手でふるうことはやってみましたが、不可能です。 10分ふっても5gも落ちてきません。

もちろん50メッシュも充分細かいふるいです。一般的には50メッシュのふるいにかけたものを、もっとも細かい灰と言われています。 しかも50メッシュのふるいを3重にしています。確かに100メッシュの機械は壊れてしまいましたが、それ以上に灰の製作に非常に時間がかかり、ふるいが追いつかなかったこともありました。

現在は50メッシュで灰をふるっています。その分価格も下がりました。 まれに、本当に極稀にですが100メッシュも出来上がってくることがあります。お値段は高くなりますが(15kgで21,000円)、もし相当にご希望でしたら一度ご連絡をください。 ただ本当にたまにしか出来上がってきませんので、あまり期待しないでください。

とはいえ、50メッシュですら充分細かいです。50メッシュは元々なら灰で使っていましたし、私の所有している火鉢にはなら灰を使っていますから、正直まったく問題はありません。ご安心ください。

安全性について

2007年に書いた内容なので少々古いですが、、、

最近中国関係の報道が多くなっています。 同時に2007年の4月からなにやら食の基準が出来たようで、安全性に対するお問い合わせが一斉に来ました。 実はこれは竹炭パウダーという火鉢屋が密かに販売している炭についての話ですが。 いまやくぬぎ炭にも中国産が入ってきました。最近では中国産のおが炭のヒ素の問題も言われ始めてきています。

当然ですがくぬぎ灰のくぬぎの木、楢灰の楢の木、白樺の胚の白樺。 すべて間違いなく国産です。
2007年のお問い合わせで一番多いのは安全性についてでした。

2017年に追記いたします。なら灰は今も岩手県で炭を焼いて灰を造っています。残留検査済みです。

くぬぎ灰は四国100%です。

また炭を焼く窯には、くぬぎ炭ならくぬぎの木しか燃やしません。(着火用の雑木は近所の落ちている木)なら炭も同様です。

2010年前後より以前は、国内消費の炭の80%が中国からのものでした。中国産と国産と偽っていたところも多かったのですが、現在は輸入量ほぼ0%。

仮に中国産の炭がありましても、今や高級品の部類になるほど時代は変わりました。中国国内で消費される炭の殆どは、東南アジアからの輸入品です。なお中国の炭が高品質になったのは、日本の燃料協会が一生懸命現地で指導し、マニュアル化し、炭竃も大量に造ったからでした。今はそれも、政治的な理由で一切日本向けにつかえなくなってしまいました。時代の変化とは面白いものです。