手あぶり火鉢 第288弾の説明
火鉢3台の説明文を書くことに大変時間かかってしまい、かえって皆様に御迷惑おかけしますので、こちらの火鉢の特徴をざっと文章だけで書き連ねてみます。読みにくかいかと思いますが、のちのち修正してまいります。今はご勘弁を。
トチノキの火鉢
トチノキの火鉢です。恐らく初めてになります。およそ火鉢と名の付く木製の火鉢は大小合わせて500台以上めにしてきています。販売させていただいたけでも長火鉢もあわせると300台は有に超えてございます。記憶が確かなら、トチノキの火鉢は初めてになります。実際非常に数が少ないようです。トチノキは紫檀や黒柿同様の銘木として有名ですが、お式などの比較的小ぶりなものに使われるのが常で、火鉢に使われることは滅多にございません。
虎杢と墨
杢目は虎杢(とらもく)。トラの模様に見えるところから名前がついたと思われます。また黒い部分が目につきます。これは黒柿と同様で、墨が落ちたもの。光ったような光沢も特徴ですが、虎杢にこの墨は、最も珍重された杢目になります。
程度とお値段について
実は最初、トチノキだとわかりませんでした。正直もうしますと庄内から持ってきてくださった師匠が、そう教えてくれていたのかもしれないのですが、よく聞いていなかったようです。ほかにも大御所師匠が幾人かおりまして、善いものだけをひたすら譲り受けてまいりましたが、トチノキの火鉢はただの1つも見たことなかったのでした。
インターネットで検索してみましても、関西火鉢が1台でてくるのみで、あとは見つけることが出来ませんでした。状態はとても良いですが、炉縁に若干の使用感があります。とはいっても、火鉢で一番問題になるのは、4隅に隙間ができていること。でも隙間はまったくなく、全く問題ございません。
また傷、欠け、シミもございません。銅板の炉はかなり使用感ございますが、浮き出るようなサビは皆無ですし、見た目が「使用感あり」なだけで、あとはとくに問題ございません。価格もその希少性と大きさから、52,000円程度かなともおもったのですが、初めてのトチノキの火鉢ですし、素晴らしいめぐり合わせに感謝して比較的抑えた価格にいたしました。
ただ最初に間違えてお安い価格を付けてしまったので、その価格を24時間ほど提示して、その後本来の価格44,800円にさせていただこうと思います。
こちら、本震は自分で使ってみたいところでございます。
作りの見事さ珍しさ
炉縁の曲線は見事です。ここまでのものは初めてみました。今でしたら高額な加工機械もありますし、話では1000万円単位で購入できるものをつかえば、こうした作りも出来るそうなのですが、木工作家さんいわく、これを手で作り喘げるのは到底無理とのこと。
私は木工作品を作りませんので事細かに何故無理かを説明できないのですが、指物師の方からの話を聞いていましても、感覚として相当難儀な作りだということはわかります。丸みを帯びさせるには、削るしかありません。松下幸之助が最初に丁稚奉公したのは火鉢屋でした。そこでの辛さをみますと、柔らかい桐の火鉢を磨くだけで、手が真っ赤に腫れ上がって傷だらけ。飛び上がるほどの痛みだったそうです。
ましてやケヤキほどでないにしても、紫檀や黒柿に次ぐ固さのトチノキをここまで削るのは、いまや無理な仕事と言えるかと思います。
上げ底については、名称がわかりません。どなたかお分かりになる方いらっしゃいましたら、ご一報ください。 稀にこうした上げ底の火鉢がございますが、どれも豪商や地主のお屋敷からしかでてまいりません。出処は詳しくわかりませんが、庄内には倉を複数持つお宅がまだ結構残っているらしく、また江戸時代には京都都の交易でかなり豊かになった土地柄、こうした逸品物が良く出てまいります。
トチノキの一枚板の火鉢
もちろんトチノキの一枚板。総トチノキでございます。大きさも大きく、通常の手あぶり火鉢よりも20cmほど大きいです。今も隣にございますが、自分で使ってみたくて仕方ありません。もし2〜3日売れ残っておりましたら、自分で使わせてください。すみません!
虎杢と墨と光沢
このものすごい杢目がトチノキの美しさ、見事さを物語っています。特にこの黒い部分を出すために黒漆を全面に塗ったり致しますが、こちらは一部だけ黒い、黒柿と同じく墨の落ちた部分。虎杢のなかでも最も希少な部分になります。
それにしても見事!