円山応挙 画/誠拙周樗 讃「猫図」
紙本淡彩・軸装/寛政4年(1792)/中村不折 箱書
かねてよりご懇意にしていただいているお客様からお譲りいただきました。名品と申し上げてよいと思います。気高い猫の姿が、実に印象に残ります。
円山応挙(1733-1795)は、写生を基礎に据えた画風で江戸中期の京都画壇を一変させた絵師です。寛政4年は応挙60歳、亡くなる3年前にあたります。上部の讃は、鎌倉・円覚寺の中興の祖と仰がれる名僧・誠拙周樗(1745-1820)によるもの。『虚堂和尚語録』巻第七の偈頌「求猫子」から引かれています。猫を「虎の顔をした狸」と呼ぶ見立ての面白さは、禅僧の言葉遊びの妙といえます。
拝見したところ 箱書をしたのは洋画家・書家の中村不折(1866-1943)。書道博物館の創設者で、中国と日本の書を集めた人です。応挙と誠拙という取り合わせの意味が分かる人物が箱を書いている――この一点だけでも、本作が長く大切に扱われてきたことが分かります。シミを抜き、表具を交換して、約一ヶ月後の納品となりました。