舟越保武「エチュード」
ブロンズ/1954年
舟越保武(1912-2002)は、佐藤忠良と並んで戦後日本の具象彫刻を代表する彫刻家です。岩手県一戸町小鳥谷の生まれ。東京美術学校彫刻科を卒業後、1939年に新制作派協会彫刻部の創立に参加しました。
1950年、生まれて間もない長男を亡くしたことを機に洗礼を受け、カトリックに帰依します。以降、「長崎26殉教者記念像」(1962年・高村光太郎賞)、「ダミアン神父」、「原の城」(1972年・中原悌二郎賞、ローマ法王庁に贈られた)など、信仰と祈りを主題とする作品を残しました。1999年に文化功労者。次男は彫刻家の舟越桂です。
拝見したところ 本作は1954年、舟越が具体的な対象をモチーフにしながら抽象表現を志向した「魚」シリーズを始めた時期と重なります。石彫の第一人者として知られる作家ですが、この頃の作には、後年の完成された静謐さとは別の、手が探っている感触が残っています。「舟越保武のアトリエ 静謐な美を求めて」(昭和女子大学光葉博物館刊、2000年)No.54に同型作品が掲載されており、来歴の裏付けが取れました。