Usedの鉄瓶 松葉地紋 姥口鉄瓶
三巌堂 清茂造 松葉地紋 姥口 楔留提梁鉄瓶
写真を見る限り、これは「美品」として押す鉄瓶ではなく、かなり使われ、手も入っているが、造形そのものは非常に面白い古い鉄瓶として説明するのが合っています。
特に、松葉地紋の密度、松笠摘み、姥口、そして楔留めの鉉。このあたりはきちんと書く価値があります。一方、外側の錆・肌の荒れ、内部の修復歴も隠さず書きます。
三巌堂 清茂造 松葉地紋 姥口 楔留提梁鉄瓶
三巌堂、清茂造の松葉地紋鉄瓶です。
寸法は、持ち手・注ぎ口を含めて高さ23.8cm、最大幅23.2cm。
容量はおおよそ1.5L〜1.6L
現代の鉄瓶は小さめなので1Lくらいですから少し大きめ。
家族の人数が多い時代の大きさですが、大家族時代の鉄瓶は2L~3Lの大き差でした。
鉄瓶の大きさも時代を反映していて面白いです。
決して状態のよい鉄瓶というわけではありません。
長年実際に使われてきた鉄瓶で、外側には錆、変色、肌の荒れなど相応の使用感があります。また内部についても、一度黒漆を施して修復されています。
ただ、この鉄瓶は状態の良し悪しだけで見るよりも、造形を見ていただきたい鉄瓶です。
胴から蓋までびっしりと入った松葉地紋
まず目につくのが松葉の地紋です。
胴の一部分に松葉を散らした程度ではなく、ほぼ全面に細かな松葉が走っています。
しかも一方向に規則正しく並べたものではありません。
斜めに走るもの、重なるもの、途中で交差するものがあり、離れて見ると鉄瓶全体に細かな線が流れているように見えます。
近くで見ると一つ一つが松葉。
この細かな地紋が胴だけで終わらず、肩から蓋へつながっているので、全体として一つの景色になっています。
底近くになると松葉地紋が終わり、細かな鋳肌へ切り替わります。この境目も写真ではよく分かります。
松葉に松笠の摘み
蓋の摘みは松笠です。
松葉をこれだけ全面に使っていますので、単なる摘みではなく、鉄瓶全体で「松」を意匠としてまとめたものと見てよいでしょう。
胴の松葉は細い線の集合ですが、中央に立つ松笠は立体的です。
上から見るとなかなかよい景色です。
姥口
口造りは姥口。
蓋が胴の上に大きく乗るのではなく、口の内側へ収まる形です。
そのため蓋の周囲が出っ張らず、肩から口へ向かう丸い形が崩れません。
この鉄瓶は胴がかなりふっくらしています。
腰も丸く、肩もなだらか。
そこに姥口を合わせているので、全体に低く落ち着いた印象があります。
面白いのは楔留めの提梁
そして、この鉄瓶で個人的に一番面白いのは鉉です。
写真を見れば分かる通り、一般的な鉄瓶の鉉の付け方とは少し違います。
鉉の根元を金具と楔で留める構造になっています。
現在普通に売られている量産の南部鉄瓶では、まず目にすることのない造作です。
機能だけ考えれば、もっと簡単な方法はいくらでもあります。
それをわざわざこの造りにしている。
松葉地紋、姥口、松笠摘みと合わせて見ると、単に湯を沸かすための実用品というより、古典的な鉄瓶の造形をかなり意識して作られたものだと思います。
鉉自体にも長年使われた鉄らしい肌が出ています。
注ぎ口にもかなり使用感があります
注ぎ口は、根元がふっくらと膨らみ、そこから細く立ち上がって先端が外へ開いています。
ここにも細かな鋳肌があります。
一方で、口先には赤錆が確認できます。
この部分を含め、外側全体に新品のような均一な黒さはありません。
黒、茶、赤錆、地金の色が混在しています。
これを「時代の味」とだけ表現してしまうのは少し違うと思います。
普通に、かなり使われています。
ただし乱雑に扱われて壊れた鉄瓶という感じでもありません。
使われ、錆び、その都度手入れをされながら残ってきた鉄瓶という印象です。
内部は修復されています
ここは重要です。
内部には一度、黒漆による修復が施されています。
したがって、内部が当初の状態のまま残っている鉄瓶ではありません。
写真でも内部は比較的黒く落ち着いていますが、これは修復歴を含んだ状態として見てください。
当店に来てからは、実際に水を入れて3回湯沸かしを行い、慣らしをしています。
現在、沸かした水は透明です。
水漏れ等の実用上の問題も現時点では確認しておらず、この状態のまま鉄瓶としてお使いいただけます。
ただし古い鉄瓶です。
新品の鉄瓶のような状態保証をするものではありませんし、今後の使用環境や管理によって錆の状態が変化する可能性もあります。
その点を理解した上で、古い鉄瓶を実際に使いたい方のための品です。
状態より造形を見る鉄瓶
この鉄瓶については、状態だけで評価すれば決して上物ではありません。
外側には錆があります。
使用感もかなりあります。
内部には修復歴があります。
コレクションとして「未使用に近い清茂造を探している」という方には、もっと状態のよいものを探したほうがよいと思います。
一方で、
全面の松葉地紋。
松笠の摘み。
姥口。
丸くどっしりした胴。
そして楔留めの提梁。
これだけ古典的な要素を組み合わせた鉄瓶は、眺めていてなかなか面白いものがあります。
特に火鉢に掛けた場合、胴の下半分は五徳と灰に近くなります。
そうすると目に入るのは丸い胴、全面の松葉、姥口の蓋、松笠、そして大きく弧を描く鉉。
おそらく棚の上で単体を見るより、火鉢に掛けたときのほうが格好のよい鉄瓶だと思います。
新品同様の美しさを求める鉄瓶ではありません。
長く使われ、修復もされ、それでもまだ湯を沸かせる。
そして鉄瓶そのものの造形には、現在の一般的な南部鉄瓶とは違った面白さが残っている。
そういう一瓶です。
三巌堂 清茂造
松葉地紋 姥口 楔留提梁鉄瓶
高さ:約23.8cm
最大幅:約23.2cm
※持ち手・注ぎ口を含む
外側:錆・変色・使用感あり
内部:黒漆による修復歴あり
当店にて3回湯沸かし・慣らし済み
湯の濁りなし
現状実用可能
※古い鉄瓶ですので、状態を写真で十分ご確認のうえお求めください。
¥11,400
在庫切れ





















