こんにちは。
ヒバチヤの番頭、三浦でございます。
本日は広尾のお客様からのご依頼で買取へいってまいりました。
都合3回伺ったわけですがその道中を。
渋谷区広尾での一日 ― 古きものと出会う旅
ちょっとだけ、村上春樹ふうに書いてみます。
骨董やアンティーク、古き良き時代の品と邂逅(かいこう)する瞬間は、いつも私の旅心を呼び起こす。それは、まるで時間と空間を超えた物語のようだ。時と人とが交錯し、驚きと共感、そして新たな発見が、絶え間なく繰り広げられていく。
(※邂逅とは、思いがけなく巡り合うこと。「三年ぶりに邂逅した二人は……」というふうに使います。)
今日、番頭三浦もまた、その旅路に足を踏み入れた。
舞台は、東京・広尾。渋谷区の高台に、その街は静かに佇んでいる。そして広尾の高台に建つ一軒の邸宅が、私を迎えてくれた。
火鉢のお店「ヒバチヤ」では、こうした買取のお仕事も承っているのです。
それはまさに、村上春樹の物語に出てきそうな邸宅でした。ヨーロッパの著名な建築家に学ばれた方が手がけたお宅だそうで……恥ずかしながらお名前は失念してしまったのですが、とにかく圧倒されるほど見事でした。家の中には、江戸の頃からあったであろう御神木の松まで遺されていたほどです。
広尾ってどんな街?
広尾は昔から(といっても私の学生時代からですが)、ひと言でいえば外国人の多い街です。大使館も多く、当時の外国人の友人たちも、何かあると「広尾でカラオケしよう」という具合でした。私が生まれて初めてカプチーノを飲んだのも、この広尾でした(笑)。
駅のあたりには商店街も残っていて、一見ふつうの街並みのようでいて、どこか異国情緒が漂います。交通の便は比較的よくなく、旅行者もあまり来ない、地元感の強い街。それが広尾でしょうか。
渋谷区には松濤や南平台といった有名な街もありますが、それよりも庶民的で、けれど上品。インターナショナルで、とにかく素敵な街です。番頭は大好きです。
広尾の邸宅からの物語 ― 時を超えた出会いと、新たな旅路
私たちが日々出会う骨董やアンティークは、ただの「物」以上の意味を持っていることが多いものです。それぞれが語る物語、その背景にある人々の思い、そしてそこから生まれた文化や歴史。それらを探し、感じ取ること。それこそが、買取というお仕事の醍醐味であり、皆様と分かち合えることが、私の喜びであり使命でもあると思っています。
今回は広尾の一邸にお邪魔し、そこで見つけた驚きと発見、そして感じた想いを、少しばかり共有させてください。
実際、どうだったの?
正直に申しますと、今回お邪魔した広尾の邸宅は、すでに何軒もの業者が足を運んだ後でございました。めぼしい品の多くは、すでに運び出された後だったのです。
その中で私が見つけられたのは、春慶塗(しゅんけいぬり)の火鉢が二つ。その美しさと精巧さは、ひと目で心に留まりました。春慶塗にしては珍しい、直径四十センチほどの大きな火鉢もございました。あわせて、古い掛軸も数点、見せていただきました。
この訪問は、大田区にあるアンティークショップ「アップル」さんのお姉さんからのご紹介でした。事前に伺っていたとおり、すでに多くの業者が入った後で、正直、少しばかり遅かった感は否めません。最初の業者にタダ同然で持ち去られてしまう――そんな事態を避けるためにも、もう少し早く伺えていれば、という心残りはありました。とはいえ、お家そのものが一見の価値あるもので、たいそう楽しい一日でした。
実は、お話はここで終わりませんでした
ありがたいことに、その後もご縁をいただき、同じお宅へ、都合三度ほど足を運ばせていただくことになりました。
回を重ねるごとに、蔵や納戸の奥から、思いがけない品々が姿を現していきます。
まず、戦前の古い写真が出てまいりました。セピア色に沈んだ一枚一枚に、その時代を生きた方々の暮らしが、確かに刻まれていました。
そして、日本刀が三振り。
日本刀は、ただ買い取れるものではありません。一振り一振り、登録証を確認し、所有者変更のお届けのために都庁(東京都教育委員会)まで足を運び、正式な手続きを踏ませていただきました。手間はかかりますが、刀ばかりは法に則って、きちんと筋を通すのが筋というもの。そうして二振りを、正式に買い取らせていただきました。
残る一振りには――お客様のご家紋が入っておりました。
紛れもなく、ご先祖様が遺された刀でございます。
これは、お売りいただくべきものではない。そう思い、その一振りは、お客様のお手元へとお戻しいたしました。
古いものの価値を見極め、できるだけ正当な買取を
ヒバチヤでは、品によっては一部を買い取らせていただき、一部は目録をつくってお預かりすることもございます。お時間をいただいて、次にその品を本当に求めている方を見つけ、お譲りする。そうすることで、お客様にも、より多くの金額をお渡しできるからです。
この方法であれば、買取業者が不当な利益を得ることなく、品の本来の価値に見合った金額を、お客様にお渡しできます。
買取のお仕事ではありますが、その根っこにあるのは、古いものの物語を追い求める冒険であり、大切な想いを次へと紡いでいく、その触媒(カタリスト)の役割なのだと思っています。
高く買い取らせていただいたとき、「ご先祖さんが遺してくれたものだから」とおっしゃる方が、本当に多いのです。
文字どおり、そのお手伝いをさせていただければ。広尾の家紋入りの一振りを、ご先祖様のもとへお戻しできたことは、まさにそんな番頭の願いが叶った一日でもありました。
春慶塗の火鉢は、近いうちにあらためてご紹介いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ヒバチヤ 番頭三浦
サンゴのついた掛軸につけるものとか。。。

