ぽってりした桐の火鉢
全体の作り
唐物にみられる首が造られています。上部の凹んだところです。そのため「肩付き」が出来ています。そして畳付きという底がつけられています。中国の焼き物を真似たつくりをお茶道具ではよく目にしますが木材である火鉢には中々見ることがありません。
唐物は江戸時代まで長らく日本を遥かに凌ぐとされていましたのでその憧れから中国磁器の特徴を取り入れたものと思われます。
日本は壺でも花瓶でも首は垂直に立っています。
鉄瓶の口にもタテ口はありますが首とよばれる凹みは存在しません。
そうしたところからも、唐物の良さを取り入れるために手でひたすら削って首をつくったのでしょう。物凄い 仕事です。
時代
明治〜大正
詳しくはわかりませんが今まで火鉢だけ500以上さわってきた経験から、これほど手をかけられる職人がいたのがせいぜい戦前までですし木材の感じから明治後期か大正かなとおもっています。
全体の丸み、そして上部のくびれ(首)は全てヤスリで削ってつくったもの。
火鉢1つにこれだけ作業時間をかけられた時代の作品です。
鉄瓶とて同じで、古ければ古いほど手をかけています。
職人のプライド、意地もあったでしょうが儲けに走らないでも良かったノンビリした環境もあったかと思います。
材質
桐と黒柿
黒柿は柿の木1000本に1本の割合でみつかる黒い木材。墨が入っているものが見つかるとそれは黒柿と呼ばれ、柿の木とは異なる扱いを受けます。
黒柿に杢目(もくめ)があり、最も珍重されるのは孔雀杢(くじゃくもく)です。
孔雀の羽の模様に似ていることからそう呼ばれていますが、上部の縁の1辺は特に見事な孔雀杢になっています。
ほぼ瓶掛(びんかけ)
32cmの正方形で、高さが23cm
この高さは瓶掛(びんかけ)として造られることが多いです。
瓶掛とは火鉢に鉄瓶を載せたちょっとした茶事のために使われる火鉢の事。
正式な茶道でしようする風炉釜という仰々しいものを用いずとも、手軽に炭を入れて。
茶釜ではなく鉄瓶で湯を沸かす。
鉄瓶ですが柄杓(ひしゃく)で湯をいれたりもしますけれども、鉄瓶ですからやはり取っ手(鉉)をもってお湯を入れます。
鉄瓶を横移動させやすいように火鉢の高さを低くします。
これが火鉢なれど瓶掛とも呼ばれる理由です。
その瓶掛はおよそ高さ23cm以下になります。
もちろん23cm以下の火鉢が全て瓶掛というわけではありませんが概ね一般的な手あぶり火鉢の高さは28cm以上あります。
サイズ
たてよこ32cmの正方形
高さ23cm
灰は約4kg入ります。
【灰4kgの参考価格】
なら灰 30メッシュ 4kg 4,800円
くぬぎ灰 30メッシュ 4kg 6,400円
くぬぎ灰 50メッシュ 4kg 8,800円