わずか14年の間に失われた職人技と、これから無くなるもの。

中村さんの網

こんにちは。

番頭の三浦です。

突然ですが、西荻の不動産屋さんに99歳の番頭さんがいらっしゃいました。

もう10年ほど前の話です。

 

そこの不動産屋さん(現存)、60代の社長さんと、

70歳位の事務員の女性と、

99歳の番頭さんの3人しかおりませんでした。

西荻窪には他にも、99歳の焙煎屋さんも有名でしたし、

88歳の双子のおばあちゃんだけでやっている不動産屋さんもありました。

 

さて、その9歳の番頭さんがいらっしゃる不動産屋さん。

流石に驚いたことあがります。

なんと、99歳の番頭さんが内見の案内役だったのです。

その番頭さんが、現地の物件のある場所へ鍵を持って現れます。

社長も事務員さんも、現場には行かないとのこと。

99歳。。。

 

最近いよいよ人生100年時代と言われ始めていますね。

数年前からアメリカの有識者を読んで国が率先して主導しています。

でもその前から、人生100歳どころか100年現役を貫いていた大先輩ががたいらっしゃったという話でした。

しかしながら、誰もがそんなに長く現役でいられるわけではありません。

 

火鉢のお仕事を始めたのが14年前、

そのわずか10年あいだに、

かなりの職人さんが引退されました。

その職人さんの数だけ、作品がこの世のから消えていきました。

そして今、時間の問題となっているモノもあります。

 

  • 最も重厚な五徳各種
  • 灰均し
  • 火箸
  • 竹の自在鉤
  • 桐の火鉢
  • 骨董の長火鉢を修理
  • 火鉢の炉
  • いくつかの鉄瓶
  • 火おこし器

これから無くなることが決まっているもの

 

  • 中村さんの網
  • 羽箒
  • 指物で作られる火鉢

 

鉄器に関しては、幾つかの工房で若いお弟子さんがもう独り立ちできるまでになってきましたので、完全に商品が無くなる心配からは開放されました。

一方で職人ワザでもない、中国製のものが、手に入らなくなります。

鋳物の五徳などはその代表格

実は火おこし器も1つなくなっています。

火おこし器の底の、あみあみの鋳物を作れなくなったからです。

職人と呼ぶほどのものでもないのですが、中国ですら3Kは若者が嫌がるから人が集まらない。だから作れないので終わります。

ということでした。

 

火おこし器、DIYショップへいくと底の網部分が薄い鉄板のものがあります。

あれは新潟の火おこし器会社が、やむなく鉄板に穴を開けたもので代用している結果です。

耐久性が無く、炭火も以前の鋳物より付きにくいです。

 

現在、当店で販売している火おこし器は底が鋳物ですが、日本で作っています。コスト高ですが、他の商品が売れに売れているらしく、かなりの低コストで作ってくださっています。

他にもあまり詳しく書くことは出来ませんが、茶道という大事な日本文化でつかう道具が、今や中国出身の50代女性の腕に託されているというのもあります。たまたま日本に1人だけ残っていた職人に弟子入りしていて、そのまま親方が引退したので、1人で作っているというものです。

片言の日本語を話しながら、当然お弟子さんもなく。

 

 

原材料もホウボウでなくなっています。

当店でもあまり売れていませんでしたが練香などの香道で使うお香は上代が3倍に!

去年から日本香道はAmazonさんでも練香を売り始めたので当店の役割はなくなってきたのですが、もともとの仕入れ値をしっている身としては、もう高くて仕入れられないというのが正直なところです。

 

ということで

今年の3月で引退の予定だった中村さんが、一体今年のいつまで作ってくれるのかドキドキしながら過ごしています。

まだご覧になったことのない方は、中村さんの網がどんなものか、是非こちらをご覧ください。

中村金網から京都の鳥居金網さんへ