火鉢の修理の仕方とその様子

【11月15日 追記】

こちらのブログを御覧いただいたお客様から嬉しいメールをいただきました。この難解な文字をお読みいただき調べられたそうです。

おそらくは「明徴録」という明治時代に発刊された書物のものと思います。国会国立図書館サーチで見つかります。写真から「明徴録 巻之六」という表題を読み取りました。他にも「水府史臣 青山 何某」まで読み取りました。これらからweb検索したところお伝えした情報にたどり着きました。山川均の妻、山川菊栄の縁者らしいですね。そんなこともわかるとinternetも使えるなと思ってしまします。   https://is.gd/vPBNkY

いやあすごいですね。
改めて時代と歴史の面白さを感じました。

ご連絡いただきました某様 誠に有難う存じます。

こんにちは。

番頭の三浦です。

今回は手あぶり火鉢の修理の様子をお見せしながら、どんな感じで修理をしたのかを解説してみます。

 

 

修理の流れ、こんな感じで進めて参ります。

1.修理することになった火鉢について

2.不具合の箇所

3.修理の流れ

4.完成

 

1.修理することになった火鉢について

なにやら珍しい火鉢。

江戸の水戸藩の武士の教科書的な本の木版。

つまり当時の印刷の原本でしょうか。

水戸藩の武士の教本らしい木版をベースにした火鉢
水戸藩の武士の教本らしい木版をベースにした火鉢

 

この板に墨をぬって和紙を当て和綴じで製本して本になる。

といった塩梅です。

その木版(というのでしょうか)で作った火鉢でした。

どこぞにあった木版をせっかくだからと火鉢にしたのが昭和の中頃ではないでしょうか。

それほど古いものではないですが木版は江戸時代のものです。

 

2.不具合の箇所

火鉢の4つの角が完全に開いてしまいました。

軽く板も反っていました。

またかなり放置されていたので木と木の合わせ面がささくれだっていました。

ただ板そのものはしっかりしていたこと。

銅板の炉も問題なかったこと。

底面もしっかりしていたこと。

などから単に隙間があいてしまっただけとも言えます。

とはいえ板の反りから隙間があいてしまったので、どこまで元にもどせるかわかりませんでした。

 

3.修理の流れ

すっかり修理前の写真を撮影するのを忘れちゃいまして。

修理も半ばになったころに

「ああああ!!!」となっても時既に遅し。

結構壊れかかかっている様子は撮影しておりません。

修理の流れはこんな感じ。

1.水洗い とにかく水洗いします。お湯でも良いです。できればシャワーヘッドをつかってある程度の水圧で汚れを落とします。

2.乾かします。直射日光は厳禁です。日陰で長い時間かけて干してください。激寒のときは凍るので水洗い自体は気温が15度以上のときを目安に。

3.接地面を磨きます。軽くで良いです。

4.角を木工ボンドでくっつけます。1箇所ずつ止めていきます。写真のようにマスキングテープを何十にもして重ね貼りして固定します。更に今回は板も反っていたので荷物バンドで思いっきり締め付けます。とにかく締め付けます。固定金具みたいのもありますがない場合はこのバンドでOKです。ホームセンターなどで300円くらいで売られています。

5.2日くらい置きます。そうしたらもう1箇所の角を同じように木工ボンドでくっつけます。当然隙間は空いているのでマスキングテープを重ね張りして締めていきます。そしてまた荷物バンドです。これを1角ずつもしくは2角を木工ボンドんでくっつけても良いです。

6.4〜5を1角2日として8日かけて1角ずつ止めていきます。

7.反りも収まりました。今度はワックスです。

8.フランスの蜜蝋の入ったアンティークワックスが最高ですが国産の木工用のワックスも良いです。最初は透明のワックスを全面に塗って1日放置します。

9.翌日軽く布で拭き取ったら今度は木の色に近いワックスを塗ります。黒でもウォールナットが無難です。1面ずつ念入りに塗ったら数分おいて乾いた布で残ったワックスを取るように磨きます。何度も磨いていると艶が出てきます。

10.9を3回位繰り返します。

これで完成です。

4.完成

角をマスキングテープを使ってくっつけます

修理終わった様子。アフター画像です。

以上が火鉢修理の様子でした。

ビフォー画像がないのと作業風景がなかったですがいかがだったでしょうか。

なかなか火鉢を修理する機会はないと思いますが何かの参考になれば嬉しいです。

またこの江戸時代の言葉わかる方いらっしゃいましたら何と書いてあるか教えて下さい!

お読みいただきありがとうございました。 番頭三浦