こんにちは。
番頭の三浦です。
今回は鉄瓶には錆びやすい鉄瓶と錆びにくい鉄瓶があること。
その理由について解説します。
錆びてくれるから鉄分が採れます
突然ですが、
鉄瓶は鉄ですからサビます。
サビは赤い色をしています。
赤サビ っていうとなんか良いイメージではありません。
でも、赤サビは鉄だから出来ます。
そして鉄瓶で鉄分が採れるのは、鉄が錆びるからです。
錆びない鉄瓶からは鉄分は採れません。
ただその鉄瓶のサビですが、錆びやすい鉄瓶と錆びにくい鉄瓶の違いはあります。
その説明の前に、錆びやすい鉄瓶=ダメな鉄瓶という意味でありませんのでご注意ください。
何しろ鉄瓶の世界では不動の知名度を誇る隆文堂の鉄瓶は京鉄瓶ですので実は錆びやすい鉄瓶です。
だから錆びやすい鉄瓶がイコールダメな鉄瓶ではございません。
錆びやすい鉄瓶と錆びにくい鉄瓶の決定的な違いとは?
カナキ止めの有る・無しがその違いの原因です。
カナキ止めとは、鉄瓶の最終工程のこと。
炭で1200度前後で鉄瓶を焼き付ける作業のことです。
これにより鉄瓶の内側に酸化皮膜ができます。
また鉄そのものが錆びにくくなります。
仮にひどく放置された手入れ悪い鉄瓶でもカナキ止めされた鉄瓶は赤くボロボロには錆びません。
そして盛岡の鉄瓶はカナキ止めがされています。
明治時代に盛岡で街全体を焼き尽くす大火災がありました。
この時、多くの鉄瓶工房が焼けました。
焼け跡からでてきた鉄瓶はもう終わりだとおもったら、逆になんか錆びに強いみたいだ。
ということでこれ以後、盛岡の鉄瓶はカナキ止めをするようになりました。
カナキ止めされている盛岡の鉄瓶とそれ以外
明治の大火災がきっかけで盛岡の鉄瓶はカナキ止めすることになりました。
でもそれ以前の鉄瓶は盛岡の鉄瓶でもカナキ止めはされていません。
同じ岩手県の南。
水沢も鉄瓶の鋳物で有名です。
水沢の鉄瓶はカナキ止めはされていません。
一部の工房では一部の鉄瓶にカナキ止めをしていますがかなり稀です。
また山形鋳物もカナキ止めはしていません。
そして昔は盛んだった京鉄瓶。
関西の鉄瓶もカナキ止めはされていません。
一部されているのもあるのかもしれませんが、聞いたことは有りません。
カナキ止めしていない鉄瓶は錆びやすい?
正直錆びやすいです。
盛岡の鉄瓶と比べて錆びやすいです。
でもそれは鉄瓶をしっかりと育てていないからです。
カナキ止めしていない鉄瓶について解説する必要に迫られたのは現代社会だからです。
昔はカナキ止めがあろうと、無かろうと関係なかったのです。
なぜなら鉄瓶は毎日使い物だったからです。
しかも七輪やカマドや囲炉裏や火鉢の上にのせて一日中、炭火の上で煮立っていからです。
しかも水はブリタやクリンスイで綺麗になったお水ではありません。
井戸水や濾過していない水道水。
ミネラル分たっぷりです。
このミネラル分が鉄瓶の内側に湯垢として付きます。
錆びなくなります。
もしくは日々鉄瓶を使う中で、たまに薬草茶を煮出したりもするでしょう。
この薬草茶や麦茶を煮出すだけでも、赤サビとお茶の成分が反応して黒錆にかわります。
これでやっぱり錆びなくなります。
カナキ止めしていない鉄瓶は使い始めの3ヶ月でしっかり育てよう
といわけで、すでに書きましたがカナキ止めしていない鉄瓶は、最初の3ヶ月はお茶を煮出したりボルビックなどのヨーロッパのお水を煮立てたりして湯垢を付けます。
それでも中は早めに赤くなってきます。
また、お水を入れっぱなしにしてしまうとたった一晩でも中は真っ赤になると思います。
仮に真っ赤になっても緑茶を数分に出してそのまま翌日までお茶を入れたままにすれば赤サビは止まります。
こうして最初の3ヶ月でカナキ止めの無い鉄瓶はしっかり育ててあげます。
すると、錆びにくい鉄瓶になります。
以上、図もなくただ文章だけで書いてみましたので読みづらいかもしれません。
鉄瓶選びの、鉄瓶を育てる参考にしていただければ幸いです。
お読みいただき有難うございました。
素敵な鉄瓶ライフをお送りください。
火鉢の道具店 番頭三浦