鉄と砂鉄の忘備録

こんにちは。番頭の三浦です。

本日は鉄瓶と砂鉄についての忘備録です。

フォーシーズンズホテルの急須

新宿高島屋に鋳掛け屋「綱取」さんがいらしていたので久しぶりに会いに行ってきました。

そこで以下のことを確認してきました。

 

  1. 鉄の溶かし方
  2. 砂鉄の溶かし方
  3. 砂鉄は錆びないというけど本当?
  4. 鉄瓶の天然の塗料について
    1. 黒は緑茶と鉄を混ぜるのか?
    2. 赤は赤錆と漆の混合なのか?
  5. 綱取さん(虎山工房)は何を目指しているのか
  6. なぜ綱取さんのつくる鉄瓶の鉉(取っ手)は見事なのか?

 

1.鉄瓶の鉄の溶かし方

A.古い方法、昔ながら古式と電気溶解の2種類ある

鉄の溶かし方には古来の方法。古式のキューポラとよばれる炉をつかった方法と、電気による溶鉱炉で溶かしたものとある。

古式つまり江戸時代からの昔ながらの方法で鉄を溶かして鉄瓶を作っているのは盛岡にも4〜5箇所くらいしかない。

一方多くの鉄は電気による溶解の大型機械によって溶かした鉄を使う。これは「もらい湯」といって溶けた鉄を買いに行く。現在はこちらが一般的。

B.古式の溶解は昔は炭を、現在はコークスを使う

コークスのほうが温度が高いので現在はコークスを使う。火種のコークスをルツボと呼ばれるツボ?に敷き詰め、上に鉄の塊を置いて、その上にまたコークス。のようにミルフィーユみたいにして火をつけていくと溶けていく。コークスを使用する古式の溶解では硫黄が発生する。すると鉄が固くなる。

2.砂鉄の溶かし方

A.砂鉄を古式でやると硬すぎてしまうので、さらに古いやり方で溶かしている

コークスと鉄をミルフィーユにして燃やして溶かします。すると硫黄が発生します。すると鉄が大変固くなります。これは鉄瓶にとってはすごく良いことです。でも砂鉄は鉄より固いので固くなりすぎてしまいます。固くなりすぎると成形の段階でバリバリ割れてしまいます。

だからコークスが混ざらないようにします。

江戸時代には炭で溶解していました。炭だと硫黄が発生しません。ではなぜ炭でやらないのか?

炭で砂鉄を溶かすには最低100kgは必要です。

貴重な砂鉄。100kgなんてとても一度に溶かせません。

現在は砂鉄は売られていません。昭和41年に最後の鉱山が閉山しました。現在本物の砂鉄は数少ないです。それは山で採取するしかないからです。もしくは江戸時代の古い茶釜を溶かしてつくります。

だから砂鉄を溶かす場合、綱取さんは特性のルツボを使います。簡単に言うと大きな七輪のイメージです。

こうするとコークスが砂鉄に混ざらないので固くなり技ません❗

 

3.砂鉄は錆びないというけど本当?

正確には錆びます。錆びますが鉄のように真っ赤になったりボコボコしたり穴が空いたりしません。もちろん落とせば砂鉄も割れるし穴あきますが錆びで空くことはありません。錆びた状態を見れば砂鉄か鉄(岩鉄(がんてつと言います))か判断がつきます。

砂鉄は錆びないので最初からあまりサビを気にしないで使えます。鉄瓶はつかったあとに中を拭くのは絶対ダメですが(錆びやすい)、砂鉄は使用後に布で中を拭けばOK 予熱とかやらないでOK 砂鉄はとにかくサビを気にしないで使用できる最高の鉄瓶です。

 

こちらは明治時代の茶釜のサビです。

底がサビたので替底(かえぞこ)修理。その時の底の一部です。

砂鉄のサビはこのように銀色っぽい色が出ます。

赤錆ですが鉄サビとちがってお湯は赤くなりません。

一方で鉄も砂鉄も錆びるから鉄分が出ます。

錆びないものからは鉄分は出ません。

 

砂鉄のサビ。明治の茶釜のサビはこの程度

 

4.鉄瓶の天然の塗料について

A.黒は緑茶と鉄を混ぜるのか?

日本酒に鉄を浸けておくとワインのような色の液体に変わる。これに緑茶を混ぜて黒くする。緑茶の量を半分くらいにすると黒とグレーの間のような色味になる。

B.赤は赤錆と漆の混合なのか?

紅と漆で赤をつくったりする。盛岡の鉄瓶には赤が多かった。赤茶といったほうが良いか。もしかすると山形が紅の一大生産地だったことも関係あるかも知れない。

 

5.綱取さん(虎山工房)は何を目指しているのか

江戸時代の鉄瓶の復刻

だそうです❢❢

どうりで! だから綱取さんの、つまり虎山工房(こざんこうぼう)の綱取の鉄瓶は他のどの鉄瓶と比べてアンティークっぽいのだとわかりました。なんかアンティークっぽいのです。綱取さんの鉄瓶は。今の作家さんは現代的ですごく素敵です。おしゃれだしモダンだし。現代の生活にはモダンでシンプルな鉄瓶が一番です。

だからこそ綱取さんの鉄瓶はなんか古臭いというか昔話というか。

アンティークや骨董の雰囲気があったのですね。

今回新宿高島屋へいって疑問をすべてぶつけてきて、答えていただいて本当に良かったです。

6.なぜ綱取さんのつくる鉄瓶の鉉(取っ手)は見事なのか?

綱取さんのというよりも、阿古陀鉄瓶の取っ手がものすごいのです。

まだ商品ページを作っていないのでこの場でお見せできませんが追々商品ページにてご紹介いたします。

聞けばこれは昭和の初期の柴田さんという鍛冶屋さんか、その弟子の田中さんがつくった鉉(取っ手)だそうです。

 

しかも残念ながら2019年ころから、鍛冶屋が仕入れられる鉄にも変化が現れてきたそうです。

簡単に言うと鉄の質がオチた。

だから漆なども剥げやすいのだとか。

密かに盛岡の、いわゆる手間のかかる鉄瓶につける取っ手は鍛冶仕事なわけですがこの鉉(取っ手)の質がオチてしまった。

これは鉄板の製造所の問題でどうにもなりません。

時代の流れで仕方ないとおっしゃっていました。

 

以上が本日、虎山工房の鋳掛け屋(いかけや)綱取さんから聞いてきたこと。

私の鉄瓶に対する疑問のあれこれに対しての答えでした。