お客様の火鉢 Vol.9

お客様の火鉢

・第二百四十七弾 手あぶり火鉢 N様

お客様の火鉢

まだまだ続く、変調寒冷の日々。購入した火鉢ですが、今日も全開で稼働させています。
火入れより早2週間。大分コツも掴め、加減も分かりました。
祖母が逝って早25年。この火鉢に同じく、数十年振りの火入れに。継命の孫から感謝と追悼の心を込めつつ、敢えて明治のこの火鉢に誂えた形見の茶釜灰も機能を確認でき、難物の炉ながら、底炭の備長炭にも火移りを掴めました。四半世紀も経った今となって、不肖の孫が使うこととなったこの形見。茶道の心得など全く無い私ですが、きっと亡き祖母も歓んでくれていると信じています。

 

火入れと共に手入れを始めてか、心無し擦れた火鉢も艶が増してきたように感じます。16世紀に植えられ、伐られて100年以上も経つというのに、なお生き続けている目の前の一木の事実に悠久の自然を感じつつ、なんとも静粛な気分にさせられます。また、昨年購入した菊池作品の虫喰五徳も、この火鉢への火入れより日々微妙な変色を重ねており、炭熱やヤニに反応してか、うっすらと茶見の粉肌身を纏い始めています。可能な限り焼き入れを続け、今後の変化を観察します。

火入れより変化変化の炉景で、全く面白くて仕方ありません。
手炙り火鉢は、陶器の火鉢とは全く違う趣で、大変困った事に日に日に可愛さが増していきます。
世界中を見渡しても、主に「可愛い‥」と感じさせる暖房器具なんてあるのでしょうか?
火鉢屋さまが、徹して拘って木製火鉢の販売を通している理由を、私なりに感じています。
全てが指物で、全く同じ木目の構成は存在しない一点物の世界。複製はなく、存在自体が既に逸品。全く飽きません。
例年より厳しい寒さの日々の今冬となりましたが、購入したお道具類、くぬぎ炭、この火鉢のお陰で、殆どバックアップの電気ストーブを焚くこともなく、一器で心豊かに越冬することができました。
数々の逸品との出会いを賜り、感謝しております。作家の菊池さま、そして田中さまにも、どうか宜しくお伝え下さい。
新年度に向け、益々の貴店のご発展を願っております。
シーズンは終盤へ。まだまだ気候変調に付き、どうかご自愛下さい。
ご報告まで。

 

HIBACHIYA

247弾とのこと。かすかに覚えております。でも流石に写真を見ないことには思い出せませんでした。こちらは山形は庄内から来たものだったような気がします。そもそもこの炉縁の高さといい、全体の縦横比(上から見ていますが)が、庄内の火鉢のようですが、どうでしょう。(どうでしょうって、自分で販売しておきながら・・・)

記録をもっときちんととっておくべきでした。
それにしてもいい色です。赤ケヤキでしょうか。
この頃は、そろそろ手あぶり火鉢が見つかりにくくなってきた頃だったと思います。そろそろ貴重になってきた頃です。今はもっと見つからないです

N様にはたくさんお買上げいただきまして、ありがとうございました。