備長炭と呼べるのは、紀州備長炭と土佐備長炭だけです。

ここで備長炭の体語を書いても面白くないので辞めますが、本当の意味での備長炭は、紀州と土佐。そしてこれが、ひじょ〜に貴重になってしまいました。ここ5〜6年の話です。それまでは正直余っていました。ではなぜ、備長炭が貴重に、つまり手に入らなくなってしまったのでしょうか。

原因は複数ありますが、この複数が重なって今のような状態になったのです。もちろん備長炭の歴史(江戸時代)からみても、初めてのことです。

備長炭がなくなってきた原因

  1. 何年も前に和歌山南部を襲った台風
  2. 尖閣諸島の問題
  3. 中国が環境保全に本気だした
  4. 中国経済の底上げ
  5. 山がいよいよ荒れてきた

です。

いま日本に流通している備長炭は、6〜7年前とくらべると10%以下と言われています。つまりこの10年弱で、9割の備長炭がなくなってしまったということです。かなり乱暴な表現ですが、まとめて言うとそういうことです。

1.和歌山県を襲った台風

これから書く話は、炭屋さん、炭の関係者は絶対に話しません。そのうち「書かないでくれ」と言われて、素直にこのエントリーを消すこともあるかもしれませんが、それまでは記録のために残してみたいと思います。さて和歌山の台風です。いつだったか覚えていないですが、最初に備長炭の入荷が滞りはじめたのはこの台風がきっかけです。山が崩れて林道が塞がれ、炭焼き小屋まで通行不能になった。さらに、4人ほど職人さんが引退余儀なくされるほどの大怪我をされたというのも聞いたことがあります。とにかく最初のきっかけは、台風だったと記憶しています。この塞がれた林道は、和歌山県からすると優先順位がひくかったらしく、通行再開するのに1年近くかかったように聞いています。

2.尖閣諸島の問題

なぜ尖閣諸島?って思いますが、領土問題で中国が日本への輸出物資を港で差し止める。といったことがおきはじめました。これでなにがおきたかというと、中国産の備長炭が入ってこなくなりました。実は、中国の備長炭は、日本の炭協会(燃料協会といいますが)が現地指導して焼けるようにしたので、かなり高品質の備長炭を焼くことが出来ました。そして日本の炭消費(備長炭消費)の9割はこの中国産の備長炭でした。領土問題で、たびたび港で足止めをくらうようになりました。

3.中国の環境問題

中国に限らず、インドネシアでも6割〜8割の森林が失われたと聞きます。中国などはあの広い国土に有る森林の量は、日本のそれと同等といわれるくらい伐採されつくしたそうです。そのため中国政府は木材の伐採を止めました。でもこっそり炭焼きする人はいます。それでしばらくは持っていたのですが、今度は軍隊をつかって山を見晴らせます。どこかで煙が上がっているとどこからともなく軍人たちがやってきて、手榴弾で炭小屋を爆破するそうです。こうして、だんだん備長炭の密造もできなくなり、今度は環境保全が理由で炭の輸出が差し止められました。

4.中国経済の底上げ

中国に中流層が増えました。中流層は美味しいものが好きです。焼肉屋さんでの炭の消費量が増えました。公害問題で石炭を燃やすことも禁止されました。もう炭は、お金のために日本に輸出する必要がなくなりました。国内消費を賄うので精一杯です。ただこれは、備長炭ではなくておが炭の話ですが、備長炭を焼いても中国で消費されるので、日本には密輸で回す分もなくなりました。

5.日本の山が荒れてきた

山があれると竹が生えます。つまり、山に竹が生えていたら、それは山が荒れていることになります。竹があると他の植物が生育できません。こうして、備長炭に必要な原木「ウバメガシ」も「カシ」も、植林しても追いつかないほど山が荒れました。もうすでに炭小屋のまわりの木は切り尽くしてあるので、かなり遠くの山から木を切って運ばなければなりません。山があれたことで、森林の再生もおぼつかなくなってきました。

 

他にも、相変わらず人材不足などもありますが、中国の問題で国内消費の備長炭の9割が失われ、残り1割の国内備長炭をみんなで取り合っている。そんな状態が今です。

備長炭は製造に時間と手間がそうとうかかるため、需要が上がったからといって供給量を増やすことはできません。もし供給量を増やすとしたら、手抜きしかありません。炭は手抜きがダイレクトに繁栄します。炭の爆発といった、わかりやすい減少が起き始めます。だから、炭の生産者が増えない限り、現状は備長炭の生産量を増やすことは出来ません。

 

こうして、備長炭は手に入ったら幸運! というレベルまで貴重になってきてしまったのです。

 

今年はずっと、ヨコヅナ君も不揃い君も品切れでしたが、恐らく少しはお分けできると思います。明日にナラないと正確な入荷量わからないのですが、本日1月14日、に在庫を増やしました。

 

 

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