火鉢ギャラリー第343弾-島桑の大名火鉢

桑の見事な杢目の大名火鉢の画像

島桑の大名火鉢

桑の木の火鉢の特徴

江戸指物では珍重される桑の木ですがなぜか火鉢ではあまり目にしません。むしろ黒檀の方が多かった印象です。

黒檀は南方の木材で日本には無いのですが。

ちなみに黒檀を江戸時代に持ち込んでいたのはポルトガル船など。ポルトガルからはるばる空荷でやってきてシンガポールやインドネシアあたりで現地のものを満載して日本に到着。そこで日本では硝酸や金属などを積み込んで帰国していたようです。火薬に必要な硝酸は日本には大量にあったことも外国船が頻繁に日本にやってきた理由の1つのようです。

そんなこともあり貴重なはずの黒檀も中々の量が国内に入ってきていました。

それに比べると桑は国産なのに火鉢ではあまり見ません。

さらに島桑となると今までわずか4〜5台のみ。

桑の木の杢目は如鱗杢(じょりんもく)、牡丹木(ぼたんもく)、玉目(たまもく)などケヤキでは珍しいとされる杢目が珍しく有りません。如鱗杢はいかにも光っているというか光沢があります。3Dに見えなくもないそんな杢目です。

まさにその黄金の如鱗杢がめいっぱい見えるこちらの大名火鉢。

上げ底になっているのは恐らく指物の世界では名称があるのでしょうがよくわからないので大名火鉢としました。

火鉢は専売制、許可制だった

江戸時代、火鉢は許可制、専売制でしたから在庫という概念がありません。そのため依頼者の社会的立場などを考慮してつくられます。大名は言いすぎだと思いますがそれなりの社会的な地位にいるお家の火鉢はこうした上げ底になっていました。

シマ桑

シマ桑は島桑と書いてもよさそうです。

主に九州より南方の島に生えている桑のこと。

風雨にさらされ内陸の桑の木よりも強靭に育ちます。

紀州備長炭が和歌山の南部の海沿いのウバメガシをもっとも最上級とするのと同じ理屈です。

その島桑の光沢は見事です。

わずかながら1箇所、ヒビが見えます。

画像にも矢印で示してありますが恐らく殆んど目立たないと思います。

4角も隙間なく、ガタツキもございません。

ほぼ完璧な状態といえる島桑の手あぶり火鉢です。

サイズ

33cm x 33cm 高さ24cm

内径24cm 深さ15cm

灰は 4kg入ります。