長火鉢と鉄瓶

鉄瓶を使う前に知っておくべきこと

鉄瓶をお使いになる前に、知っておくべきことをまとめました。

これから末永く付き合っていく鉄瓶。 使い始めが肝心です。

そして使い始めた鉄瓶は時間と共に変化し、育っていきます。
>> 鉄瓶を使い始める前に知っておくこと

まず鉄瓶の内部は金気止めという処理を施してあります。これは炭を燃やして高温で鉄瓶を焼く仕上げのことです。この作業によって鉄瓶の内部に酸化皮膜という膜が出来ます。これがさび止めの役割をしています。

この鉄瓶の中の酸化皮膜を不用意に破損させずに、なるべく早く鉄瓶をお湯に慣らすことが肝心です。皮膜が完全にはがれないうちに“湯あか”をつけてしまうと、鉄瓶の内部は白っぽくなり、錆びにくくなります。

さらにがんばれば、鉄瓶の中に一晩水をいれたままにしてもまったく錆びなくなります。ただここまでいくには時間と使用頻度、それまでの丁寧な扱いが肝心となります。
>> .鉄瓶 使い始める前に

鉄瓶を使い始める前にやっておくこと

最初に鉄瓶の中をゆすぎます。
お湯を鉄瓶の六分目くらいまで入れて一度沸騰させます。
数分沸騰させたら鉄瓶の中のお湯を捨てます。
これを2回から3回繰り返します。
鉄瓶の中のお湯を捨てるときに濁りがなくなっていればOKです。
もう鉄瓶を使う準備が出来ました。

初めて使う鉄瓶ですが、開封時からこのさき永遠に、鉄瓶の中を指で触ったり、ゴシゴシこすって洗うことはありません。一切鉄瓶の中は触りません。
>> 鉄瓶を使い終わったら

鉄瓶を使い終わったあとの処理方法について、まずは鉄瓶の余熱をつかった場合。

出来るだけまだ鉄瓶のお湯が熱いうちに捨てます。
鉄瓶のフタを取り出し、鉄瓶の中に口で息をフーフー吹き入れます。
鉄瓶の余熱を利用してすばやく乾かします。

あとは鉄瓶の中の お湯を出す口(蛇口)の付け根の部分にお湯がたまっていないか気をつけてください。

鉄瓶にそれほど余熱の無い場合は火鉢や囲炉裏の炭火で鉄瓶を乾かすか、ガスコンロであれば弱火で乾かします。 炭火の場合はとくに空焚きは気をつけずとも大丈夫ですが、ガスコンロの場合は弱火とはいえ、空焚きには充分気をつけてください。

ガスコンロの火を弱火にして鉄瓶をかけたら、乾くまでその場を離れずに見守っていてください。 なお、鉄瓶を乾かすときは弱火より絶対に強い火にしないでください。
>> 鉄瓶の外側のケア

鉄瓶の外側は鉄瓶の中ほどには簡単に錆びません。

とはいえ、鉄瓶の外に水以外のものをはねさせてしまうこともあります。特に油!
別に鉄瓶の前でフライパンで炒め物をするわけではないのですが、何の気なしに油が付いてしまうこともあるものです。

油は最も鉄瓶に付けたくないものかもしれません。
それ以外の “なにか” が、せっかくの鉄瓶の綺麗な表面についてしまい、
気が付くとポツポツとした斑点が出来てきたりすることもあります。

人為的な行為がなくとも、鉄は自然と酸化してきます。ちょっと長いあいだ鉄瓶を遣わないで置くと、赤っぽく錆びてきます。 これは鉄瓶の宿命ですね。

いずれの場合もやれることは唯一つ。 鉄瓶が熱いときに鉄瓶の外側を、
緑茶をしみこませた布でポンポンと叩くことです。

「緑茶でポンポン」と勝手に名づけていますが、これが思いのほか効果的です。

今まで数多くのお客様から 「鉄瓶の表面が錆びてしまった! どうしたらよいですか?」 というご質問をいただいておりました。

その度にこの 「緑茶でポンポン」 をお知らせしておりましたが、絶大な効果をその後ご連絡くださるお客様もいらっしゃいました。

昔から囲炉裏を日常の煮炊きに使ってらっしゃる方も実は意外と多くいらっしゃいます。こういったベテランユーザーの方にとってはこの 「緑茶でポンポン」はもはや習慣となっているようで、気が付くと自然にやっている行為であったりします。

皆さんも是非、特に鉄瓶の錆が目立たずとも是非やってみてください。

>> 鉄瓶の中を錆びさせてしまったときの対処法

鉄瓶の中を酷く錆びさせてしまうことがあります。
原因は「お湯を入れたまま放置」です。

特にお湯が水へと温度が下がっていくときに一番錆びます。まだ湯垢のつく前の段階でこれをやってしまうと、一回で酷く錆びさせてしまうことがあります。

その後何度使っても赤水しか出ない。。。

こんなときは自分で鉄瓶の中の錆を止めるしかありません。

第一の方法

緑茶の葉を不織布に入れたものを鉄瓶の中にいれる。
水を鉄瓶の八分目までいれて煮出す。
お湯が二分目をきるくらいになったら鉄瓶の中のお湯をすてる。
再び水を鉄瓶の八分目までいれる。
鉄瓶のお湯が沸騰してまた二分目になるまで沸騰させ続ける。
鉄瓶のお湯を捨てる。
この処理をあと1回繰り返しても良いです。
緑茶は出がらしでOK。 これで緑茶のタンニンが鉄瓶のサビと反応してタンニン鉄が生まれます。このタンニン鉄は色が黒で、大概のサビはこれで止まります。
最後に出がらしの緑茶はすてて、鉄瓶の中をゆすぎます。
鉄瓶に水をいれて沸騰させてみてください。これで赤さびは止まります。

第二の方法

お米のとぎ汁を鉄瓶の6~7分目までいれます。
鉄瓶のフタを取り、弱火で何度かとぎ汁を沸かします。
鉄瓶の内側にでんぷんの膜が出来て錆がお湯に出にくくなります。
とぎ汁が赤く濁らなくなったらOKです。
鉄瓶を空だきしてしまった時も同様の手法で対処できます。

ここまでやっても鉄瓶から赤水が出る場合、修理が必要です。

鉄瓶の修理については 「鉄瓶の修理がしたい」 をご覧ください。