丁呂木とちょろぎ
”ちょうろぎ”という植物をご存知でしょうか。もしかしたら東北にしか無いのでしょうか。なかなか面白い(奇妙?)な形をした植物です。最初は「え?」ってなりますが、よく見ると可愛くも見えてきます。
恐らくお目にかかるのはお正月だけかもしれません。少なくとも普段からスーパーに並んでいるのを見たことはありません。
そんなチョロギを火箸に付けたら面白いと考えたのは他ならぬ千利休さんです。鍛冶屋の田中さん、それを再現しました。意外と大変だったみたいです。
チョロギと真鍮流し
ベースはご覧のように真鍮流しです。鍛冶屋の田中さんの親方は、本当に明治生まれの職人さんで、弟子にすら真鍮流しの技のときは背中しか見せなかったそうです。そんな師匠のことを田中さん、
「結局手元さ、見たことねぇんだ。俺にやり方見せること無く行っちまっだぁ。」
だそうです。だから、
「今でも親方の背中さ思い出してやっでる。まだまだ親方には追いつかねぇ。」 と言っておりました。
そんな鍛冶屋の田中さんが、真鍮流しが大得意の日本で唯一の職人さんになるわけです。そして今回、利休好みの集大成とも言える「丁呂木の火箸」を造りました。
それにしても何百年も前に、このチョロギを火箸に付けたら面白い。とおもった利休さんも、面白い感性の持ち主だったと思います。そんな色々なことに思いを馳せつつ。