真鍮流しの技は師匠譲り
真鍮流しの灰均しのところでも書いたのですが、
この真鍮を流す技は師匠から代々受け継いでいます。
受け継いだはずなのですが、ある時鍛冶屋の田中さんは言いました。
「親方はとうとう弟子の俺にも背中を向けたきり、手元を見せてくれながった。
だから今でもアノ背中を思い出してやっでんだ。 ぜーってぇ技さ見せねえから、
誰か人が通ろうものならピタッと手を止めでな。なんも、弟子の俺にすら
みせねぇんだ。 そのまましんじまっだぁ。
まだまだ親方にはおいつがねぇ。」
繁栄と継続が詰まった真鍮流し
冗談のようですが、昔気質の職人どころか本当の昔の職人は、弟子にすらも技をただでは教えなかったのでしょう。「その師匠もそうして技を盗んだ(表現がよくありませんが)そうです。まさに「ワザは盗んで覚えろ」という言葉。今は聞かなくなりましたが、昔は地で行っていたと思われます。
一度も真鍮流しの手元を見せてくれなかった師匠の背中だけを見つめて会得した真鍮流しの技は、神がかっているという表現がぴったりです。
真鍮流しの技を持っているのは日本で唯一人。
でしたが、今はお弟子さんがいらっしゃって、ちゃんと技を伝えております。ご安心ください。
こちらの真鍮流しの火箸には、そうした師弟関係の元に脈々と伝わる伝統と神がかった技が詰まっています。
桐箱に入っています。
黄色い布(ウコン布)にくるまっています。
よろしくお願いいたします。
お読み頂き有難うございました。
真鍮流しシリーズ
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