マニュアル車と火鉢

祐天寺 火鉢

火鉢のナラ灰をつかって代官山でつくってフランスで売る

昨日はアーティストのお客様(Mさん)のところへお邪魔してまいりました。

正確には集金に伺ったのですが。(笑)

 

Mさんは代官山にある農家のような古いおうちがアトリエです。

いつもナラ灰を買ってくださいます。

メインの活動はフランスですが、代官山で造っています。

 

Mさんとの出会いは、フランスでの活動を始める前でした。

スタート前のその頃に、すでに成功するだろうな。

というのは肌感覚で感じていました。

 

一方、日本文化を世界に広めよう!

という活動をされている方は多くいらっしゃいます。

企業の場合もあれば個人の場合もあります。

これまた肌感覚ですが、その殆どが成功しているような雰囲気はありません。

2〜3年するとなくなっていたりもするからです。

元グーグル日本法人の社長さんも、日本の伝統工芸を世界に広めるためのネットショップを運営されています。

 

この違いはなんだろう。

そう思ったので昨日、聞いてきました。

 

ストレートに質問する私に、Mさんは10年前のパナソニックのアイロンを見せてきました。

 

「このアイロンは10年以上前からあるんだけど、コードレスだし、軽いし、小さくてコンパクト。10年前にこんなの作れたのは日本人だけなんだよ。実はフランスでも買えるんだよ。でも誰も買わない。みんな重くてコードの付いたものを使っている。なぜかって? 日本の便利なこのアイロンはフランスの景色に合わないんだよ。彼らはみんな自分をアーティストだと思っているから、デザイン的にワクワクしないモノは買わないんだよ。」

 

と熱弁されていました。

でも私はここに、みょーに納得してしまったのでした。フランス行ったこともないのに。

 

 

Mさん、有り難いことに盛り上がっています。

そしてこうも聞いてきました。

 

「未だにヨーロッパではオートマが殆ど売れないんだよ。新車でも必ずマニュアルを買うんだよ。なぜだかわかる?」

 

私はわかーいころ、自動車雑誌で働いていた事があります。その時に先輩から聞いた答えが正しいと思って答えました。

「ヨーロッパは山がおおくて、山を登るには小回りの効くマニュアルが便利なんじゃないでしょうか。」

と。

 

「違うよ。君はマニュアル車好きなんでしょ? なんで好きなの?」

と聞かれたので、

「楽しいからです!」

と答えると、

 

「そうだよ。だからヨーロッパ人はみんなマニュアル乗るんだよ。楽しいんだよ。だれも効率性とか求めてないの。」

 

 

Mさんは、そうしたことがわかっていたので、フランスには最初からフランス人が気に入るようにアプローチしたそうです。

そこには以下のような思想があったといいます。

 

「相手が何を求めているか。車ならマニュアル。不便なアイロン。そこにあるフランス人の欲求は何か?」(正確にはこういう表現はつかっていませんでしたが)

 

「日本はすでに世界からは大人と見られている。世の中に対してどういった貢献ができるだろうか。それが大人の考え方。」

 

つまり、

Mさんの作品も、もし日本の伝統工芸という枠で考えると、

「これは日本の伝統工芸で、こういうところが凄いんです!見てください!」という売り込みになります。

これは子供。

だから一切そんな売り込みはしません。

 

 

相手は、日本が凄いことはもう充分知っているそうです。

その上で、貴方は何が出来るの?

何をしてくれるの?

が問われているんだと、Mさんは教えてくれました。

 

 

日本の文化を世界に広めようという方で、こうした視点でものを語ってくれた方は初めてでした。

いえ、Mさんは日本の伝統文化を広めようとしていませんでした。

でも結果的に、それが日本の伝統文化を広げることになっていました。

 

「メジャーの大谷はそうですね。」

と言うと、

うん と強く頷いていました。

アメリカの西海岸とニューヨーク

今はLAとポートランドに行って次の活動拠点にしようと動いているそうです。

フランスとやり方は違うのかと尋ねると、また面白い答えが返ってきました。

「西海岸は、これこれで新しい市場を作れる」

みたいなに反応するそうです。

もちろん自分のやっていること、この場合は伝統技術ですがそこはオタクである必要があるとのことでした。西海岸はオーガニックでオタクが多い。

だそうです。

 

「じゃあ、ニューヨークでは誰がエライの?」

 

と聞かれたので、アホな私は

「トランプ!」と答えたら

「それは個人でしょ。仕事として誰がエライと見られている?」

というので

「金融」と答えると、

そうだということでした。

ニューヨークは金融に絡めるのが一番浸透しやすいのだそうです。

 

すでに色々教えてもらっていっぱいっぱいだったので、詳しいところは聞けませんでしたが、ブロックチェーンの何々とか言っていました。

まさか日本の伝統工芸をゼロから造っているアーティストから、金融とかブロックチェーンの話が出るとは思いませんでした。

私は直感的に「これはイケるな!」と思いました。

 

 

火鉢はマニュアル車

だから火鉢はいいんだよ。間違ってないよ。

 

唐突に言われたので聞いてみたのですが、よくは判りませんでした。

ただ、面倒なところが残っていて、ソレをそのまま伝えるのなら、めちゃくちゃ面白がってくれる。

と言われました。

 

それから最後に最後に言われて響いた言葉がありました。

 

魂が喜ぶことって、大体が幼いこと。幼い感情こそ魂を揺さぶるんだよ。

 

これは私が、

一番ワクワクするのはなにか?と聞かれて

世界中の人たちと友だちになること。

と答えると、火鉢を広めるならソレを一番頑張れと言われた時に言われたことでした。

 

実はいままで3回か4回は英語版のホームページを作って、それで消してきました。

消したくなったからなんですが、

なぜ消したくなったか判りませんでした。

 

その答えが、この一言で、全て理解できました。

 

 

こんかいMさんから教えてもらったこと。

うまくまとめられないのですが、

必要な人には必要なメッセージになるんじゃないかと思って、思い切って書いてみました。

 

 

お天気のよい週末になりそうな気配。

 

皆さん、どうぞ良い週末をお過ごしください!

 

番頭みうら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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