こんにちは。
番頭の三浦です。
手あぶり火鉢は300台以上
長火鉢は50台少しを販売してまいりました。
見たり、手にしただけでしたら、これの3倍以上はありますので、厳選されたものだけ販売してきました。
更にその中に、二度とお目にかかれないものもいくつかありました。
昔の職人、指物師は、わざと同じものを複数作ります。
そのためどんなに珍しくても、二度目、三度目のご対面もあるものなのですが、それでも1度きりの出会いだった火鉢も少なくありません。
そして未だにたまにふと思い出すものも、いくつかございます。
今日はその1つをご紹介します。
最後には簡単な動画もリンク貼っておきます。
銀の落しの麻の塗火鉢
この火鉢は、
まだ私がお店を初めて2年目くらいの頃でしょうか。
荻窪に「ぎんや」という茶道具専門の古美術商がありました。
すでに都会になっていた荻窪。
めったに人が入ってくることはありませんでした。
荻窪界隈はお茶の先生が沢山お住いでお茶室のある古い民家も多かったです。
そのため茶道具屋さんも4〜5店舗ありました。
そんな、まだ少しふるさの残っていた荻窪で、この珍しい火鉢と出会いました。
麻を表面に貼った上品な塗りに二重の外枠
外側が二重構造になっていました。
そもそも二重構造の外側の火鉢は、見たことがありませんでした。
関東火鉢などは一部二重構造になっているものもありますが、そうした大型の仰々しいものではなく、手あぶり火鉢でこれは、相当珍しいつくりでした。
そして外側に麻が貼ってあります。
外側に麻や、和紙をはる手法は、お茶関係の方がつかう火鉢には間々みられることでありますが、珍しいことには代わりありません。
この麻の上から塗りを施しますが、微妙な凹凸のお陰で光があたったときが特に美しく見えます。
強烈な反射が無いからです。
36角形
六角形の火鉢もたまーにみます。八角形も。
たしかこれは10度づつの36角あったとおもいます。よく覚えてないですが、細やかな作りでした。
まれ〜に、このつくり、無くはないです。
何度かだけは見たことがあります。
銀の落とし
「落し」とは「炉」のことです。
灰をいれるところ。
ココが銀だったんです。
荻窪の「ぎんや」さん
銀瓶や銀細工、銀が得意でした。
だから引き寄せの法則で、この火鉢があったのでしょう。
そう言いたくなるほど、二度と目にしないからです。
いえ、火鉢だけじゃないんです。
ぎんやさんにあった銀便はどれも本当に繊細で美しかったです。
銀瓶の底に、花模様の銀の板がはってあって、そのキレイな銀の板のおかげで実に見事なお湯の沸く音がするそうです。
そんな銀便、私は他で見たことがありません。
そんなわけで、この炉はすべて銀ではありませんでしたが、銀をコーティングしてありました。
ぎんせんもん60年のぎんやさんのご主人も、
「これは珍しい」と言っていたのをまだ覚えています。
めずらしいどころか、これっきりでした。
じつに、実に惜しまれます。
動画です。
ちなみにその当時の荻窪には、こんなレトロで味のありすぎる団地がありました。
西荻窪はさらにさらに田舎でした。
東京も本当に変わりましたなぁ。。。